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ゴールドパックのおいたちB
 
1995年 魔女っこ・しんぶん4月号掲載記事より
 
福田珈琲株式会社   会長 福田 規雄
 
 さて、コーヒーの味は、大阪万国博覧会の開かれた1970年頃と現在では大いに異なります。
 以前は深く焙った豆から濃いめに抽出されたコーヒーに、タップリと生クリームを加えました。つまり、苦みの効いたものを生クリームの働きで、まったりと飲みやすくして味わったものでした。

 この生クリームは非常に腐りやすいものですから、家庭では使えません。そのために「美味しいコーヒーは喫茶店に限る」という定説が出来ました。当然この1970年からの暫くが喫茶店の最盛期でした。それが思いもかけないところから衰退へと移っていったのです。
  それは「コーヒーフレッシュの出現」からでした。ヤシ油から加工製品化されたモノで、見た目には生クリームとそっくりでした。そして腐らないことを表看板にして、苦もなく生クリームとすり替えられたのです。もちろん生クリームと比べて価格が安いということは言うまでもありません。元来、乳製品と馴染みの薄い日本人ですので、その弱点をモノの見事につかれたと言っても過言ではありません。
 模造品ですら、コーヒーフレッシュをそのまま飲んでも油臭いだけで、コーヒーを旨くする力などありません。そんなモノを大手乳製品会社の全てが厚顔にも売り出したのですから、消費者はいっぺんに騙されてしまいました。「生クリーム」を連想させる「コーヒーフレッシュ」というネーミングも一役買ったのでしょう。

 コーヒーフレッシュを使うと、従来の深い焙りのコーヒーでは、焦げ臭く苦く感じてしまいます。そこで浅い焙りのコーヒーが陽の目を見ることとなりました。これぞ「アメリカンコーヒー」の登場です。

 浅い焙りのコーヒーなら生クリームも必要ありません。コーヒーフレッシュを使っても苦みを感じませんし、ブラックでもいいぐらいです。こうなると家庭や職場でコーヒーを淹れても喫茶店と同じ様な味を賞味できるわけです、コーヒーを飲むのにわざわざ喫茶店に行く必要も無くなったのです。
これが喫茶店衰退のシナリオではないでしょうか。

 またカリタやメリタのペーパーフィルターの普及も家庭用の追い風となりました。喫茶店にとっては打撃ですが、コーヒーロースター(焙煎業者)にとっては家庭進出のチャンス到来です。胃尼まで喫茶店を販売経路にしておりました私どもロースターは驚きと共に戸惑いました。

 一般家庭へどうすれば入り込めるのか?
 家庭用販路の開拓が必要となってきたのでした。
 
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